_ (10/26記:この日は某大学での非常勤講義の初日だった。「ランダム」という概念を軸にいくつかのトピックを紹介するという趣旨の講義なのだけど、テーマがマニアックだからなのか、受講登録者7名で初回出席者5名という小規模な講義になった。
1日につき2コマで全4日間、計8コマという編成で、初日の1コマ目は確率論の歴史的な話を少々と今後の講義内容のさわりを紹介する具合で進め、2コマ目では後の話で必要となる確率論方面の定義や定理(大数の法則とか)をいくつか紹介して終わった。ただ、単に高校で習った確率の復習をするだけでは何なので、確率測度の考えに基づいた確率空間の公理系の導入を行ってみた。まぁ、単なる趣味の問題ではなく、次のコマで「確率0の事象の可算和は確率0」という性質を使いたいという事情もあったのだが。
で、講義後に質問に来た熱心な受講者のおかげで気が付いたのだけど、ボレル集合族や確率測度が云々という以前に、「集合族」という概念自体が理解しにくいものだったらしい。言われてみれば、高校までの数学だと「集合を要素とする集合」って明確には扱われていなかった気がするなぁ、その辺りはもっと丁寧に説明すべきだったなぁ、と反省。
なお、これは完全に趣味の問題として、標本空間が有限ならいいけれども無限の場合には、標本空間の任意の部分集合に対して「確率」を整合的に定義できるとは限らない(つまり、「非可測集合」が存在する)ということを不自然なほどに強調しておいた。ただし、高校数学程度の予備知識しか仮定しないという建前で進めている上に時間も限られていたので、肝心の「選択公理」という単語を口に出す余裕が無かったのが少々心残りである。)
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