_ (1/6記:元日。外出中ならともかく、自宅にいる以上はどんなに忙しくてもサッカー天皇杯決勝の中継だけは当日に観るぞと固く心に誓っていたので、録画で数時間遅れだったけれどもちゃんと試合を観戦した。京都サンガF.C.(←いまだに「京都パープルサンガ」と呼びそうになってしまう)対FC東京という初のJ2チーム同士の決勝として事前から話題になっていたこの試合、観戦してみると、確かに両チームが決勝まで勝ち上がってくるのも頷ける好ゲームだった。ちなみに、試合の最中に大きめの地震(会場のあった都内では震度4だったと思う)があって新年早々ヒヤリとさせられたのだが、試合会場では全く動じることなく試合が続行されていた。ああいうとき、選手や審判の方々は地震には気が付いているものなのだろうか。)
_ (1/6記:少しは正月休み気分を味わうべきということで、妻が借りてきてくれたDVDの『インクハート』という映画を鑑賞した。面白いファンタジーで満足したのだけど、その中に悪党どもが登場人物の蔵書を破壊し燃やしてしまうという場面があり、自分でも驚くほど心が痛むのを感じた。自分で思っている以上に自分は本という存在が好きだったのだなぁと感じ入ったのだが、一方で、最近ちらほらと聞こえてくる「本の「自炊」(←購入者自らが本を分解・スキャンして電子データ化すること)は本を冒涜する行為」などという一部の作家の嘆きにはどうにも共感することができない。表面的には同じく本という存在を破壊する行為であるのだが、「自炊」では本の魂を愛でるために止むなく本の肉体を破壊するのに対して、先の悪党どもの行為は魂もろとも本を滅せんとする所業であり、そこに差があるのだろうなぁと考えを巡らせた。)
_ (1/6記:研究費で購入する数学書を物色していた。改めて、世の中には色々な本があるものだなぁと感心した。私もいずれは「世の中の色々な本」の中に自分の著書を加えてみたいものである。)
_ Twitterのタイムラインによると、どうやら近頃、某飲食店口コミ評価サイトでの「やらせコメント」の横行が問題になっているらしい。その件に関して、とある人(公式RTされて流れてきた)が「大相撲の八百長と一緒で、見る側が「そういうこともあるものだ」と認識した上で受け取るべきであって、そうした大らかさが失われているのは良くない」といった風な発言をしていた。だが、大相撲の八百長を問題だと感じない人であっても、もし仮に大相撲のリーグ戦が何らかの世界大会への代表選手の選考会になっていて、自分が代表選手を選ぶ側の立場であったら、同じく八百長を問題視しないでいられるだろうか。口コミ評価サイトというのは、あくまで見た人が良い店を選ぶためにある存在なのだから、大相撲のようにそれ自体で完結している興業よりも、むしろ代表選手の選考会に近い性質を持っている。そこでの「やらせ」行為を大相撲の八百長と同列に語るのは(大相撲の八百長を問題視するかしないかに関わらず)筋が通っていないだろうと考える。
_ (1/10記:三連休最終日。この日〆切なのに前日にようやく手を付け始めた某論文の査読は、見覚えのある論文のような気がしたので「きっと以前査読した論文の修正版なのだろう、それならあまり手間がかからないな」と思い込んでいたのだけど、実はそれは気のせいで初見の論文であるということに前日ようやく気が付き冷や汗をかいた。しかし、数学ではなく情報系の論文でしかも理論よりも実験が主体の論文だったことと、別の査読者が既に査読した後の修正版だったため、ツッコミ所が殆ど無くて極めて順調に査読が進んだ。というわけで、どうにか無事〆切前に査読を終えることができほっと胸をなでおろしている。)
_ (1/12記:しばらく前から仕事関係のToDoリストを作らなければと気に掛け続けているのだが、忙しい日にはそんなことしている精神的余裕がないし、忙しくない日には折角だから数学に打ち込みたいのでやはりToDoリスト作りなんかする気になれない。というわけで、排中律を避けられるような絶妙な忙しさ具合の日が出てこないとずっとToDoリストは作られないままである。)
_ 今日某所で発表したときに発表スライドにTwitterのアイコンを載せておいたら、そのアイコンを見て私だと気が付いてびっくりしたというつぶやきを発表後に見つけた。うむ、本当に役立つとは思わなかったなぁ。
_ (1/17記:フィギュアスケートのエキシビション団体戦なるものを妻と一緒に観た。演技自体は、流石に日本国内のみならず世界でも一線級の選手が揃っていただけに非常に見応えのあるものだったのだが、中継のカメラワークの余りの酷さに二人して憤りを覚える場面が多かった。特に、今回に限らず近頃のフジテレビの中継ではいつもそうなのだが、やたらと天井カメラを多用したがる(おかげでステップの迫力やスピンの細かい体捌きが見えづらくなる)悪癖はほんとどうにかならないものだろうか。場合に応じて、持っている道具を「敢えて使わない」という選択ができるのも腕前のうちだと強く思う。
それにしても、安藤選手。トリノ五輪前後の逆風の最中にあっても彼女の今後の成長を信じていたような根強いファンの中でも、こういう方向に成長すると想像していた人はそう多くないんじゃないだろうか。あの表現力は「彼女ならでは」と称されるレベルに達しているのではないかと思っている。以前の「ジャンプの安藤選手」からは想像も付かなかったなぁ。)
_ 「可算個の可算集合の和集合は可算集合」の証明に選択公理が使われている(より正確には、選択公理のない素のZF公理系と独立な命題である)ことはその筋の人には比較的良く知られているが、どうやら選択公理だけでなく冪集合の公理も使われているらしいという情報を得た。元ネタはarXiv:1110.2430v1らしい(ただし、査読前のプレプリントなので、内容が間違っている可能性も頭の片隅に置いておかねばならない*1)。しばらく考えてみたがどこで冪集合の公理が使われているのかよくわからないので、そのうち件のプレプリントを読んでみようかな。
*1 原理的には、査読を通った論文誌の論文だって間違いを含む可能性は零ではないのだからそういう可能性を無視しないという注意は共通なのだが、査読前の方がそういう可能性はより高いという比較の問題
_ arXiv:mathを5月1日分まで確認した。
【補題】族 \( (U'_i)_i \) は \( X \) の開被覆ではない。というわけで \( (U'_i)_i \) は \( X \) の開被覆ではないので、どの \( U'_i \) にも属さない \( g \in X \) が存在する。このとき各添字 \( i \) について \( g(i) \not\in U_i \) 、とくに \( g(i) \neq p \) であるから、この \( g \) が直積 \( \prod_i A_i \) の要素となる。(証明終)
証明 開被覆であるとすると、有限な(*2)部分被覆 \( (U'_i)_{i \in I} \) が取れる。一方、有限個の(*3)非空集合の族 \( (X_i \setminus U_i)_{i \in I} \) に対する選択関数 \( f \) を取り(これは選択公理抜きで可能である)、 \( X \) の要素 \( g \) を \( i \in I \) のとき \( g(i) = f(i) \) 、 \( i \not\in I \) のとき \( g(i) = p \) と定義すると、これはどの \( i \in I \) に対する \( U'_i \) にも属さない。これは矛盾である。(証明終)
*1 任意の非空集合族について、各要素ごとに空でない有限部分集合を選び出せるという公理。私は標準的な和名が何なのか知らないので、どなたかご教示下さいませ。
_ arXiv:quant-phを5月1日分まで確認した。(arXiv:mathは5月1日分までのまま。)
_ IACR Cryptology ePrint Archiveを最新版(2012/018)まで確認した。これで肩の荷が一つ下りた。
_ プレプリント確認状況:arXiv:math 6月5日分まで、arXiv:quant-ph 5月31日分まで、IACR ePrint:2012/029まで
_ メモ:The Banach-Tarski paradox for flag manifolds
、arXiv:1106.0432
_ バナッハ=タルスキの定理を援用*1して色々なものを増やすというのはよくある数学ジョークの一つだが、単位球一つと二つが分割合同であるということは、球を増やす方向だけでなく減らす方向にも適用できるはずである。にもかかわらず、「減らす」という方向性で表現されたジョークは極めて稀である。「減らす」ことよりも「増やす」ことにばかり思考が働くというのは人類の欲深さという業の現れなのだろうか、などと先日のkagami_hrさんの至言を読んで考えたことをふと思い出したのでメモ。
*1 ってレベルじゃないが
_ プレプリント確認状況:arXiv:math 7月3日分まで、arXiv:quant-ph 5月31日分まで、IACR ePrint:2012/029まで
_ さっきとある事情で久々に「コンパクト空間からハウスドルフ空間への連続写像は閉写像」という定理を使った。この定理は個人的にかなり好きな方の部類に入る定理で、私は普段は数学に美しさというものをあまり求めないのだけれども、この定理とその証明には「論理の流れの美しさ」と「機能美」がともに満ちているように感じられる。数学の箱庭のようなイメージである。
_ 昨日から暗号・情報セキュリティ分野で最大の国内研究集会(というか、世界的にもこんな規模の国内研究集会は珍しいんじゃなかろうか)であるところのSCIS2012が開催されているのだが、私は悲しいことにこの日の午後の研修に出なければならず、研修が終わってから出発して初日の真夜中にようやく現地に着いた。研修のアンケートに八つ当たりしておいたので後で何か言われるかもしれないが、幸いにして2月は出張が多いのでほとぼりが冷めるまで逃げ回ることにしよう(笑)。
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