_ このところ、活動の場を多方面に広げすぎて頭の中が混乱してきたので、考えを整理する助けとして日記兼備忘録を付けることにした。
「日記」といっても、どうせ毎日なんて続かないのだろうけど。
_ 活動の場を整理する手始めに、あまり手応えのなかった「ザ・インタビューズ」のユーザ登録を解除した。短い間だけどお世話になりました。
_ あと、殆ど放置状態だったResearchMapのページを、完全に放置できるよう最低限の情報だけ残して撤収してきた。明日からは(時間に余裕があれば)ブログの整理を少しずつ進めていきたい。
_ 某所で「しりとりに使えない数学用語」の話題が出ていたのを見て思ったこと。数学用語限定ではなく普通のしりとりにおいて、固有名詞の使用が許されるならば「ンジャメナ」とか「んじょも」とか「んばば・ラブソング」などの逃げ道があるので、「ん」で終わる語よりも「を」で終わる語(例:相田みつを)の方が破壊力が高そうである。
もっと言えば、「藤岡弘、」とか「どんなときも。」の方がより強力そうなのだけど、標準的なしりとりのルールでは語尾の句読点の扱いはどうなっているのだろうか。
_ ↑具体例に「ンドゥール」を思いつかなかった自分を恥じている。
_ RSSの設定ってこれで上手くいってるんだろうか…
_ 今日からの出張先にインターネット環境がないことが昨日の夕方になって発覚したので(遅っ)、慌ててモバイルデータ通信環境の準備を始めた。ようやく安定して使えるようになった模様。
_ 私は大学教員でも企業人でもないので他人事といえばそうなのだが、今の大学は文科省から授業日数の確保を強く求められている(←どのくらい強くかというと、日数確保のために休日返上で授業する羽目になることもあるという噂を聞いた)一方で、平日に就職試験やら内定式やらを執り行う企業が多いため学生が授業を欠席せざるを得ない状況が多々あるらしい。授業が大切だからと授業日数の確保を強要するのなら、大切な授業に学生が安心して出席できる環境の構築にも協力していただきたいものである。
_ 某雑誌の原稿は10月5日〆切だったので、ブラジル時間で10月5日のうちに提出した。(関係者の皆様ごめんなさいm(_ _)m )
_ 某集会のセッション中に『数学女子』(安田まさえ著、竹書房)の宣伝をするという重要ミッションを完了。
_ ↑もう少し詳しく書くと、某雑誌の「エレガントな解答をもとむ」欄に出題した問題の解説稿が昨日〆切だったので出張中に書こうと思って、解答の束など原稿の材料を持参して出張先にやってきた。で、その出題の元ネタが『数学女子』だったので(詳しくは12月号ぐらいに出ると思われる解説稿を参照されたい)そのことに文中で言及しようと思ったものの、肝心の単行本を自宅に忘れてきてしまって参照できないことに気付いたため、急遽新幹線の駅周辺の書店で件の巻を購入した。で、首尾よく原稿を書き終えお役御免となった単行本を、某集会のオープンプロブレムセッションで出題したちょっとした数学パズルの景品として提供したという次第。
なお、景品には『数学女子』1巻と、件の出題が理由で出版社から2冊いただいていた某雑誌の余った1冊を提供したのだけど、2時間ほど前に無事両方とも正解者に貰われていきましたとさ。めでたしめでたし。
_ 数学の研究集会の最中にお酒を呑むと言うと不真面目に聞こえるが、懇親会の最中に数学の話をすると言うと真面目に聞こえるというライフハック。
_ 例の地震で、職場のサーバに置いていた「arXivの新着チェックをいつの分まで済ませたか」のメモをしばらく見られなかったこともあって新着チェックをさぼっていたら、いつのまにか半年分以上新着チェックが溜まっていて冷や汗をかいている件。今のところarXiv:mathは3/27まで、arXiv:quant-phは3/14までチェックを済ませたことをメモしておく。
_ 今日は妻が借りてきた映画『ダーリンは外国人』のDVDを一緒に観た。映画館・自宅を問わず、映画を見るのはかなり久々のような気がするなぁ。
内容的には、昨今の原作つき映画(例えば(省略)とか(検閲)とか(自主規制)とか)にありがちな「原作の勘所に手を加えて台無しにする」という失敗も無く、配役もしっかりして原作の雰囲気の活かされた良作だったと思う。簡単にまとめると、とても面白かった。というわけで、原作が好きだけど「原作つき映画」というものに不安を覚えて映画版を観るのを躊躇している人がいたら、観ても損はしないんじゃないかと思う次第。
それにしても、トニー役の役者さん、よく見つけてきたなぁ…
_ ↑『ダーリンは外国人』に対抗して「ダーリンは外国人風」もしくは「ダーリンは外国人によく間違えられる」というネタを妄想した。
_ ↑↑あと「ダージリンは外国茶」とか。うむ、心底どうでもいい。
_ 昨日は徹底的にだらけた一日を送ったなぁ。さすが休日。
_ 今年はちゃんと10月10日が体育の日になっているので暦に拍手を贈りたい。やっぱり祝日はちゃんと由来に相応しい日付に設定しないとダメだよなぁと改めて思う。祝日をわざわざ本来の由来と異なる日付に設定するのは、誰かの誕生祝いの日をわざわざ当人の誕生日以外に設定するようなもので、本当に祝うつもりがあるのかと小一時間問い詰められても不思議はないのである。
_ 「選択公理オフ会」というものが企画されているらしい。選択公理と(ZF上で)同値な命題をひたすら愛でる証明するセミナーとのこと。「狂気の沙汰ほど面白い…」という某漫画の台詞が頭をよぎったのだが、ちょっと行ってみたいと思っている自分がいるのもまた事実で、困ったものである。
_ ↑選択公理オフ会、勢いに任せて「参加するかも」欄に登録してしまった。
_ 今日は久々にRIMSに行ったのだが、やはりRIMSの建物が綺麗だという状況には中々馴染めない。そのうち慣れるはずなのだが、慣れるまでに時間が経ち過ぎて建物が綺麗じゃなくなってしまわないことを願おう。
_ 出張中だというのに風邪をひいてしまった。情けない。妻に伝染さないよう帰宅前に治しておかなければ…と言いたいところなのだが、一度風邪ひいたら完治まで1週間はかかるのがいつものパターンなんだよなぁ。せめて一番ひどい時期は過ぎてから家に帰れるように願おう。
_ 今日(12日)は『数学セミナー』の発売日だと思われるのだが、あの雑誌は地元の本屋さんで買うと決めているためまだ手に入れられていない。
定理:全順序集合 \(\langle A,\leq_A \rangle\) の強い意味で上に有界で下向きに閉じた集合がすべてある要素を切り口とする切片であるなら、この全順序集合は整列集合である。で、件の日記にはこの命題の証明も載っていたのだけど、(私の勘違いでなければ)ある部分集合における最小元の非存在から無限降下列の存在を導く際に従属選択公理(DC)が用いられているような気がして、本当にDCが必要なのかなぁと考えているうち、DCを使わない(と思われる)証明に気が付いた。といっても本質的にはもとの証明と同じことしかしていないのだが、MathJaxで数式を書く練習も兼ねてDCを使わない(と思われる)証明を記してみることにする。(なお、折角なので背理法も使わない*2ように注意してみた。)以下証明。
_ ちなみに風邪の具合はどうなったかというと、↑こういうことを書ける程度には元気だけれども懇親会を休んでまで早くホテルに戻ってくる程度には元気じゃないみたい。
_ ↑↑の件で日記の主に確認したところ、DCを使わない証明も考えたけれども、その日が「選択公理の日」だったので(あと説明の簡略化のために)わざとDCを使用したとのこと。横綱相撲であるなぁ。
_ 科研費の応募書類の書式について、「うちの事務方が助成機関に問い合わせて判明した業績欄の記入方法」が正直どうにも不可思議でならない。で、それに合わせようと思うと科研費LaTeXではどうにもならない(と思う)ので、業績欄だけ泣く泣くWordで記入している。なんでWordの表機能はあんなに使い辛いんだろう…。
_ 某新潟な出張初日。夜の部で頑張って集会の宣伝+αしたらしゃべりすぎで喉が痛くなってしまった。明日が本番の発表なので遊びに行かずホテルの部屋でおとなしくしている。
_ (10/24記:…と前日分の日記に書いたものの、休みにはちゃんと休まないとオーバーヒートを起こすのがオチなので、この日は一日中のんびりと過ごした。私の風邪はほぼ全快してきたのだが、代わりに妻が風邪気味になってしまい心配である。気候が不安定で身体に障るけれども、悪化しなければいいなと思う。)
_ 今日は職場で事務仕事を片付けてから、某大学で来月の某国際会議の運営会議に参加予定。多分今日1日の総移動時間が6時間ぐらいになる模様…と書くと無茶苦茶多そうに見えるけれども、実は通常の勤務日の総移動時間と1時間ぐらいしか変わらない。
_ ↑へまをしたせいで総移動時間がもう1時間増えてしまった。関係者の皆様ごめんなさい。
_ (10/26記:この日は某大学での非常勤講義の初日だった。「ランダム」という概念を軸にいくつかのトピックを紹介するという趣旨の講義なのだけど、テーマがマニアックだからなのか、受講登録者7名で初回出席者5名という小規模な講義になった。
1日につき2コマで全4日間、計8コマという編成で、初日の1コマ目は確率論の歴史的な話を少々と今後の講義内容のさわりを紹介する具合で進め、2コマ目では後の話で必要となる確率論方面の定義や定理(大数の法則とか)をいくつか紹介して終わった。ただ、単に高校で習った確率の復習をするだけでは何なので、確率測度の考えに基づいた確率空間の公理系の導入を行ってみた。まぁ、単なる趣味の問題ではなく、次のコマで「確率0の事象の可算和は確率0」という性質を使いたいという事情もあったのだが。
で、講義後に質問に来た熱心な受講者のおかげで気が付いたのだけど、ボレル集合族や確率測度が云々という以前に、「集合族」という概念自体が理解しにくいものだったらしい。言われてみれば、高校までの数学だと「集合を要素とする集合」って明確には扱われていなかった気がするなぁ、その辺りはもっと丁寧に説明すべきだったなぁ、と反省。
なお、これは完全に趣味の問題として、標本空間が有限ならいいけれども無限の場合には、標本空間の任意の部分集合に対して「確率」を整合的に定義できるとは限らない(つまり、「非可測集合」が存在する)ということを不自然なほどに強調しておいた。ただし、高校数学程度の予備知識しか仮定しないという建前で進めている上に時間も限られていたので、肝心の「選択公理」という単語を口に出す余裕が無かったのが少々心残りである。)
_ 朝早く、投稿中だった論文の条件付採録通知が舞い込んできた。「条件付」といっても、英語の文法ミスを一つ、LaTeXのラベル参照ミスを一つ直すべしという軽微な内容なので、(多少時間が余分にかかるけれども)実質的には採録通知と考えていいだろう(と、強く願う)。おかげで朝から良い気分で仕事に取り掛かれた。
今回の論文は所謂「純粋数学」分野の論文なのだが、この論文について個人的に最も特筆すべきと思う点は、集合論っぽい題材ではないのに主定理の証明に超限帰納法を使っていることである。このところ趣味で勉強していた集合論の知識が思わぬ形で役に立ったということでかなり嬉しく思っている。というか、超限帰納法それ自体は集合論の予備知識を比較的必要としない汎用的な証明技法なのだから、数学科の標準的なカリキュラムに組み込むようにしたらいいんじゃないかと思うのだが、現状ではそうはなっていないらしい。(そういう事情もあり、今回の論文の題材に詳しくかつ超限帰納法を理解している査読者が見つかるんだろうかと心配していたのだが、その点は杞憂で済んだことになる。)いずれ私が「集合と位相」あたりの題材で講義をする機会があったら、そのときは超限帰納法も教えるようにしようと心に誓うのであった。
なお、私の論文にしては珍しく、今回の論文はレフェリーに極めて好評だったらしく、The paper is extremely well written, and I have no hesitation in recommending its appearance in the (論文誌の名前)
などというお褒めの言葉をいただいた。褒められるのは大好きなので、レフェリーレポートを何度も読み返してニヤニヤしつつ、今後の研究に向けての鋭気を養っているところである。
_ フィギュアスケートの話。アメリカのBrandon Mroz'sという選手が先月の国内大会で跳んだ4回転ルッツが、公式試合における世界初の成功例として国際スケート連盟(ISU)に認定されたとのこと。ISUのサイトに載っている記事はこちら。このニュースには正直たまげた。件の記事にはそのジャンプの動画へのリンクも貼られていたので観てみたのだけど、ネタバレしていなかったら「トリプルルッツ跳ぶつもりなのかな」と思ってしまいそうなぐらいに短い助走で軽々と跳んでいたので2度びっくり。よっぽどルッツジャンプの得意な選手なのかなぁ。とあるニュース記事によると日本開催のグランプリシリーズに出場予定らしいので楽しみである。
_ 2週間ほど前にTwitterで、「実数の加法群 \(\mathbb{R}\) を有理数全体からなる部分群 \(\mathbb{Q}\) で割った剰余群の濃度は \(\mathbb{R}\) の濃度より真に大きい(つまり \(|\mathbb{R}/\mathbb{Q}| > |\mathbb{R}|\) )」…(*1)、という不可思議な命題が ZF+DC (DCは従属選択公理)と矛盾しない(by @tenapiさん)、という驚愕の事実を教わった。より詳しい話はこのまとめの前半の最後の方を参照。
上の話の何が驚きかというと、ある集合の要素をいくつかの要素ごとに組分けした上で各組の要素をギュッと一かたまりに潰してしまうと、全体の個数が減りこそすれ個数が増えるなんてまぁあり得ないと感じるわけだが、直感的には命題(*1)はそのような操作で全体の個数が増える場合があると主張しているわけである。そしてその主張を ZF+DC という数学の(かなり真っ当な)公理系では否定できないというのである。(ちなみに DC だけでなく選択公理 AC まで仮定すれば命題(*1)は否定される。)
この話に触発されて、「任意の集合 \(X\) を同値関係 \(\sim\) で割った集合の濃度は \(X\) の濃度以下(つまり \(|X/{\sim}| \leq |X|\) )」…(*2)、という命題は( ZFC で証明できるものの、一方で) AC とどのくらい近い強さを持っているんだろうと考えた。直感的にはこの命題(*2)は、集合の要素をさっきみたいに組分けして各々一かたまりに潰すと全体の個数がちゃんと元々の個数以下になる、という至極尤もな性質を意味している。なので、もしこの命題を示すのに AC もしくは AC にかなり近い強さの公理が必要になるのであれば、そのことは AC の「自然さ」を示す一つの強力な状況証拠になるんじゃないかなと思ったのである。AC の「不自然さ」の象徴としてよく挙げられる命題に所謂「バナッハ=タルスキの逆理」があるが、上の事実はバナッハ=タルスキの定理が醸し出す「不自然さ」とがっぷり四つに組み合えるぐらいに強力なんじゃないかなと思っている。
少し考えたところ、ZF 上で件の命題(*2)から「集合 \(X\) から集合 \(Y\) への単射と全射がともに存在すれば、 \(X\) から \(Y\) への全単射も存在する」という命題を導くことができ(後述)、一方で後者の命題(Weak Partition Principle, WPP と呼ばれているらしい)は任意の順序数 \(\alpha\) に対する \(\aleph_\alpha\mbox{-AC}\) (集合族の濃度を \(\aleph_\alpha\) 以下に制限した選択公理、のはず)よりも真に強いとのこと(by @ta_shim_at_nhnさん)なので、(*2)も少なくともそれぐらいの強さは持っているということになる。これって、かなり AC に近い強さを持っていると言えるんじゃないかなぁと個人的には思っている。ちなみに、 AC → 命題(*2) → WPP という導出関係が存在することになるけれども、二つの「→」の部分が同値なのかどうかについて私にはよくわからない。
なお、 ZF 上で命題(*2)から WPP が導かれることの証明を記しておくと、まず、 \(X\) から \(Y\) への全射について、 \(X\) の元たちに対して「この写像での値が同じ」という同値関係 \(\sim\) を作ると、もとの写像から自然に誘導される写像 \(X/{\sim} \to Y\) は全単射である。つまり \(|Y| = |X/{\sim}|\) となり、また(*2)より \(|X/{\sim}| \leq |X|\) なので、\(|Y| \leq |X|\) が成り立つ。一方 WPP の前提から \(|X| \leq |Y|\) でもあるので、シュレーダー=ベルンシュタインの定理より \(|X| = |Y|\) 、つまり \(X\) から \(Y\) への全単射が存在する。よって(*2)から WPP が導かれる。
↑これを書いた直後ぐらいに、命題(*2)は「集合 \(X\) から集合 \(Y\) への全射が存在すれば \(Y\) から \(X\) への単射が存在する」(PP と呼ばれているらしい、恐らく Partition Principle の略)の同値な別表現に他ならないという指摘(by @ta_shim_at_nhnさん)を受けていたことを発見した。ご指摘に感謝、というか上の証明を書いておきながら何故 PP との同値性に気付かないんだと自分を小一時間問い詰めたい気分である。なお、PP が AC より真に弱いのかどうかは少なくとも20年前には有名な未解決問題扱いだったらしく(参考資料)、その筋の方々が何人もおられるTwitterのTL上で指摘がないということは現在でも未解決のままなのだろうと推測される。
それにしても、上述のような基本的と思われる問題すら未解決のまま(推測)ということは、まだまだ宝の山が眠っているのだなぁと考えさせられた次第である。
最近のツッコミ↓
_ 4403 [某大学勤務ですが,休日返上で授業する羽目になるというか,とうの昔から祝日は授業日です.国立には私立の授業日数確保の難..]
_ MarriageTheorem [貴重な情報ありがとうございます。「とうの昔から」そうだったというのは存じていませんでした。頭が下がります。]
_ 4403 [遅レスですが….背景には文科省の15週指導があったので,2007年には段階的に祝日で講義をやっていたはずです.ほとん..]
_ MarriageTheorem [土曜日講義については、土曜日がデフォルトで休日ではなかった時代を知っているので「昔に戻ったんだな(それが良いかは別と..]